がぶり寄り
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がぶり寄りは相手の廻しを自分の方へ引き付けて腰を上下に揺り動かしながら寄り進むことである。寄り進むうちに相手の腰が浮き自身の腰が相手より低くなる形が理想型とされる。 |
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体質的な欠点が生んだ「がぶり寄り」(元大関・琴風) |
決まり手の中で最も多いのが「寄り切り」。これにもいろいろあって、両廻しを引きつけて力相撲の末に寄り切る場合や出足を生かしての速攻、投げを打ちながら…と力士の個性によって実に様々な「寄り切り」がある。なかでも廻しを引き付け腰を上下に揺すりながら寄り進む、がぶり寄りなどは最も個性的な部類に入るだろう。 この技は下からあおるように寄り進むため相手の腰を浮かせてしまう利点があり、土俵際の逆転にも有効。昭和50年代の土俵で活躍した大関・琴風(現尾車親方)がなにより得意とした技である。 膝のケガに苦しみ、下半身も固かった琴風の相撲は、どうしても立ち腰になりがちだった。「それなら相手の腰をさらに浮かせてしまえばよい!」とばかりに、がぶり寄りの極意を身に着け、大関の座を掴み取ったのである。 体質的な短所も発想の転換によっては大きな長所ともなる。相撲の技にはそのヒントがいくつも潜んでいるようだ。 |
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